高瀬舟

森鴎外 · 1938

『高瀬舟』は悲しい話として読まれることが多い印象だが、これはハッピーエンドと言って良いのではないかと思う。弟は生きる苦しみから解放され、喜助は晴れやかな表情で島へ向かった。読後、清らかな気持ちにすらなるのは、鴎外の文体のせいか、物語のせいか。 法が決めた善悪にどれくらい意味があるだろうかと思う。時代によって判断が変わるような善悪だ。絶対的な善悪などこの世に存在しないのではないか。善悪を決めるのは自分で、自分が決めた正しさに従うのか、法が決めた正しさに従うのかを決めるのも自分だ。

読んだ日: 2026/02/17